アカシヤの森に 降る雨が。

うつくしいのを 知っている
それは
ドラマのワンシーンみたいに
古い歌の挿絵のように
わたしのなかで眠っていて
雨降りの朝
ほんのつかの間
胸に去来して また
引き出しの奥に もどっていく
足を踏み入れると
地面は 落ちた松の葉が かさなって
ゆっくりと やわらかく沈んだ
アカシヤの まるい葉のそれぞれに
留まっている しずくが
膨らみながら
降りてくる光を溜めて揺れていた
森は どこまでも
淡く 淡く
何度も
なかほどで立ち止まり 振り返り
雨の音を 聴いていた
わたしが まるで居ないみたいに
息を ひそめて
雨が降る日のアカシヤの森が
うつくしかったのを 憶えている
置き去りの ドラム缶に響く雨の音と
ランドセルを背負った
やせっぽちの わたしの
かるいかるい足音と
森は どこまでも
淡く 淡く
~ 幼い頃、父の仕事の具合で 一年海辺の町に住んだことがありました。
身体の弱かった私は、お医者さまに診ていただいてから、
遅れて学校へ ひとり 行くことが多くありました。
表の急な坂は辛く、ないしょで学校の裏道をえらんで歩きました。
そこには、防砂林のアカシヤが ずいぶんと長く続いていました。
なにしろ 子供でしたから、ほんとは僅かの森だったのかもしれませんが。。。~

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この記事へのコメント
何時も貴女の詩で癒されています
沢山恵みの愛をください
これからも、辛口の怪鳥さんでいてください。
わたしの軸がズレたら、言いたいこと言ってください。
それが、ありがたいのです。
(^-^)