冬のともしび

休日の陽だまり スマホを片手に とろとろと夢をみていた パンパンと矢継ぎ早の破裂音して まどろみから引き戻される 日は傾いて すっかり夕間暮れ ベッドから降りれば 裸足の足がつめたい 遠く山のふもとで 誰かが 空へ灯を投げ上げている ああ 粋だな 冬の花火だ 三日月の空に 菊華の切り絵が貼られて また 塗りつ…
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あなたの瞳

むかし  ひととき預かった猫の  水晶のような瞳に 胸が揺さぶられた 窓際の机の上が定位置で いつも外を眺めていた 横顔にみとれた 光に透けていたな 空が映っていたな クリスマスの時にもらった 雪が降る硝子玉にも似ていた ひたすらに見つめたけれど ミィがなにを視ているのか わからなかったな… 凪いでいたのか …
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秋の終わりの

指先が冷たくなった朝 ひっきりなしに聴こえている カラカラと カカカカと その折々に手を止めて 顔を上げてしばらく 見つめている ただ見届けている 公園の傍らのいつもおとなしい樹が 秋の終わりを知らせている 葉を朝焼け色に染めて  カラカラと 乾いた葉でアスファルトを叩いている 風にカカカカ…と転がって ポストの下…
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霧の朝には

陽が昇る前の うっすらと明るい山の端が好き 闇が明けていく ほおっと肩をおろす カーテンの隙間のガラス越し 信号がぼやけている フォグランプを点けて車が走っている ああ霧の朝だ 胸が逸る 窓を開ければスルスルと流れ込んで 部屋じゅうが ぼんやり なにもかも霧に融けてしまえ 手探りしたら ほんとに大切なものだけ…
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懐かしい夢

しあわせな夢をみた ああ にぎやかだったな 霧雨が降っている 庭に降りて ひと巡り 今朝 流れる空気に触れる なぜ? 空を見上げる そんなにいつも 悔いていないよ もう過ぎたことだから ありふれた会話 笑った横顔 もう ここに無いけれど そんなにいつも さみしくないよ 雨に打たれて 首を揺らしな…
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新しい発見

隣の部屋から聞こえてくる クイズ番組を視てるあなた テレビ相手に ファイターでおしゃべりだ 初めは似てるところばかり探していたのに いつしか 三角の眼をして  違うところばかり気になったり “寄り添う”ことから遠のいていく 組み立てるピースの順番が違っていたり 使う言葉が違っていたり 思えば 当たり前なのに …
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言い忘れたことがないように

通りすがり あなたの匂いのする部屋で あなたを真似て 椅子にすわり あなたがはさんだ栞のページをひらいてみる 顔を上げて 窓のそとを眺める そうか こんな感じ 坂の道を車が登っていく 空が近いね 工場の音がすこし聴こえてくるね… あなたがいないこの部屋は なんだか不自然 胸のなかがモヤモヤする 慌てて部屋…
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自然の一部

カーテンの端をつまんで わずかに残る蒼い空を じっと見つめていた 眼をそらすと 雲に食べられてしまいそうで 蒼い空はほんとは見なかったかもしれない そんな頼り無さで くぐもった光に浮かんでいた 今朝の話だ もごもごと布団を抜け出すと 床はひんやり 裸足の指がまるく縮まる 幾つ重ねようか  長袖の上着をベッドの上…
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心はほどけているかい?

四十年来の親友から やっとスマホにしてLINEを始めた知らせ 情報通なくせに 頑ななとこ彼女らしい ふたりの歴史… 受け入れられるものと拒むもの それぞれ違っていてもいい 話は平行線でもいい ただ 雨の日も風の日も ずっと返事をくれてありがとう いつも 私を許してくれてありがとう LINEの距離は近いな レシ…
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愛しいひとりぼっち

中央公園の ゆるやかなスロープを上がれば 寝そべった山々と街並みが見下ろせる 秋の陽とわたし 土はアイボリーにあたたかく 石ころを乗せている ああ いい日和だ すてきなひとりぼっちだ 揺れるのをわすれたブランコに (乗ってみたらいいじゃないか)と もうひとりの私がささやく ひとりぶんの板きれ 二人乗りをしたこと…

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夜明け前の夢

明け方にみた夢は 駅のホームからだった あなたの声は受話器の向こう 「ごめんね ごめんね」と 二度繰り返してぷつんと途切れた 発車の電子音とアナウンスが 後ろでけたたましかった そんな物語は最近は視ていないな  わたしの意識はどこに在るんだろう あなたの顔が やたら鮮明に浮かんでいた 膝をかかえて丸くなって …
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かならず日は昇るのに

舞い降りた命をあたためるひとと あたためていた命を空に返すひと 一日のうち ふたつの命のやりとりに触れる あたらしい命を護るあなたと 護り続けた命を手放すあなたと ひとは愛しくてかなしい ひとは優しくてさみしい 誰かのためにたいせつな命じゃない じぶんのためにたいせつな命だ だからどうか  誰かのた…
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わたしは旅をする

とにかく とろとろと なめらかなコーンスープのように ねむって ねむって ねむって 意識は旅をする おもいがけないところへ むせ返るような草の匂い 仔牛のつぶらな瞳に青い空が映っている 石ころはみんな心を持って転がっている 眠ることで記憶の整理をするなら わたしはずいぶんと片付けている 夢遊病のように起きて …
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まだ知らない秋

曇天の朝に 窓を開けて風の匂いをかいだ 季節は 足早にながれていく 重なる雲に 憶えの秋を乗せてみる どれもみな 確かに在りながら 遠い彼方に 浮かんでいる ひとつとておなじ形をしていない 風は動いているのに わたし コップのなかの水のようだ たぷたぷとちいさな器のなかで 揺れて足踏みをしている …
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森に居る

樹々は言葉をもたない だからわたしも 言葉は部屋に置いていく 枯れた葉を踏んで 枯れた枝を拾って 空と鳥と風と 樹々の間を渡っていく 樹々に語弊はない すれ違いも言い訳も わたしたちの 訪れを待って 花を咲かせたりなんかしない 葉を捨てて枝を落として また 芽吹いて 時を重ねていくことに 迷いもてらい…
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窮屈を置いていく

ほの暗い部屋の中に居て 開け放された 扉の向こうが気に掛かる 連なる部屋を 奥へ奥へと分け入りながら 視線はいつも ひずんだ硝子の 向こうばかりを泳いでいる 箱庭の四角い青空がまぶしい 明るい方へ 明るい方へ 手を伸ばすから 誰かわたしの腕をつかんで 陰に佇む わたしをここから連れ出して すぽっと抜…
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ペンギンの夢

昨夜 ペンギンの夢をみた 高い岩場のへこみから たくさんのペンギンが 海へ飛び込んでいく 雪崩るように 雪崩るように どうして今 ペンギンなんだ? 目覚めれば 忘れてしまう夢もあるのに 何度でも甦る 夢うらないを見てみれば あなたはこどもに慕われています あなたは家族に愛されています あなたはこど…
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むかしはむかし

わたしはあの街を知っているけれど あの街はわたしを知らない もう 時が流れてしまったから あの浜辺で体育座りをして 時間をつぶしたこと あの店で知ったかぶりをして 珈琲を飲んだこと あの電車で雪に閉じ込められて 一日が暮れたこと わたしはあの街を憶えているけれど あの街はわたしを忘れてしまった わたしが居な…
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自由自由というけれど

気ままに風に揺られている… 何にもとらわれない 自由で居てほしかったのは わたし 自由で居たかったのは わたし か細い葉のエアプランツを 旅先の銅山跡地で拾った 桜の枝に乗せてみた 苔を挟んで 細い細いワイヤーで巻く それだけで かなりの罪悪感 翌朝 別人?のように生き返っていた ホッと安堵しているよう…
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移ろい

今朝 アスファルトの匂いはしなかった 湿った土の香りと 気がゆるんだように ふわふわ 浮き上がる アイビーの羽ばたきと 戦いはもう過ぎたのかな 時折 揺り起こされたように ひぐらしが鳴く 時雨の声を探すけれど もうどこにも 降ってこない 暑かったね…… 気がこぼれて ふわふわ 浮き上がる 足が地面に着…
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