取越し苦労 なんにも作れなかったあなたが 「もう 食べられる?」 と わたしを呼ぶ テーブルに あなた手製の朝ごはんが光っている すごく長い道のりのようでいて いつのまにか…の ようでもあって おいしいね と 微笑んで おいしいね と うなずき合う いつか どちらか一人の食卓になる日々も そんなに遠いことじゃない そんな… トラックバック:0 コメント:0 2021年01月08日 続きを読むread more
想い出が尽きない夜を ああ よかったな スマホの操作を間違えたって スマホの画面に あなたのビックリ顔が現れた わたしは とにかく可笑しくて可笑しくて ずっと 笑いが止まらないよ 嬉しすぎて 笑いが止まらないよ そうか…… 人は嬉しすぎると笑いが止まらないんだな そう言えば 子供って確かそうだなあ 嬉しいとクニャクニャして やたら笑っ… トラックバック:0 コメント:0 2020年12月23日 続きを読むread more
それぞれのデッサン あの駅前のロータリーで待ち合わせて 初めてデートした時から わたしたちは 互いのデッサンを始めた ナナメに向き合って 食事をして おぼろげな輪郭だけ 逢うたびに幾らかずつ 鮮明になっていく 笑った顔 怒った顔 惑った顔 哀しい顔 記憶の襞に どんどん書き込まれていく 黄や赤や灰に蒼と うっすら彩色も浮かんでくる … トラックバック:0 コメント:0 2020年12月07日 続きを読むread more
むかしはむかし わたしはあの街を知っているけれど あの街はわたしを知らない もう 時が流れてしまったから あの浜辺で体育座りをして 時間をつぶしたこと あの店で知ったかぶりをして 珈琲を飲んだこと あの電車で雪に閉じ込められて 一日が暮れたこと わたしはあの街を憶えているけれど あの街はわたしを忘れてしまった わたしが居な… トラックバック:0 コメント:0 2020年09月12日 続きを読むread more
みかん香る 咳が止まらなく こたつで丸くなっている まほろばの空は 今日も鈍色 洗濯ものは 乾かないだろう 弱かったわたし 熱を出した時 枕元にはかならず 出たてのまだ青いみかん 爪をいれて 弾ける香りに いつだって みかん畑🍊に行けた あの 記憶はわたしだけのもの 母は もうとっくに 忘れてしまっただろう … トラックバック:0 コメント:0 2019年12月19日 続きを読むread more
おぼろげでいて たしか ひんやり 刷りたての新聞を小脇に 足もと ガザレアが首をもたげて光を探っている 咲こうか 咲くまいか しゃがんで 「おはよう}って言うと、 腕に背中に たんたんと梅雨は降りてくる そんなに嫌いでもないよ 雲がたちこめた空でも お盆に乗せたようなこんもりお山 鈍色に映る鏡田 ジオラマ360° ガタン ゴトン … トラックバック:0 コメント:0 2019年06月09日 続きを読むread more
ゆるやかに 舵をとる 夕暮れ 「スマホに替えたよ」 って、 八十を追い越した母の声 とどく 晴れた日は 家じゅうの窓を開けて かならず 風を呼んでいた 気配を追えば とりどりに散らかして 静かに 花を生けていた タライをならべ 手洗いをしてから 洗濯機に入れて洗うよに 丁寧に 暮らしを 積んでいた 思い起こせば… トラックバック:0 コメント:0 2017年01月30日 続きを読むread more
さみしい かるた 帰り着いた夕暮れの つめたいポストのなかに 紛れていたかるた 一枚 さみしいの 『さ』で はじまる 惜別の 惜別の 惜別の…… 今年の賀状は 来なかった 『また 逢いたいですね』 なめらかな 懐かしい筆はこびの いつかを 決めない いつでもの こころもち もぅ ふたたびは ないことの…… あ… トラックバック:0 コメント:0 2017年01月19日 続きを読むread more
雪の降る日に 雪が降りてきた日の 静けさを 知っている 灯りを消した闇の ほの明るさも 知っている わたしの耳にもどる記憶 彼方から打ち寄せる淡い記憶 天井に向かって なんども なんども ほぉっと放った 息の白さ たしかにわたし、 あの場所に居て あの頃を生きていた そっと降り積もる記憶の 愛しさを… トラックバック:0 コメント:0 2017年01月14日 続きを読むread more
むかし むかし……、 いそがしいね いそがしいね あっちにも こっちにも あたらしいことが たくさん 気になることが いっぱい あれはなあに? なんのおと? なんのにおい? さわりたい つかみたい たしかめてみたい ころがしてもらえば せかいは 変わる でも…、 まだまだ ひとりじゃむり いそがしいね いそ… トラックバック:0 コメント:0 2014年02月09日 続きを読むread more
今日も夕暮れ 冬枯れの萱をまくらに 橋のした 流れの帯は しずかに 続いていくよ 水鏡の面が ちりめんにひずむから 微かに 映る空の表情が 変わるよ 折々に 木彫りのような水鳥の群れが いくつも いくつも まあるい輪っかを つくっているよ つめたい水のなかで 忙しくうごいている 水掻きに眼をこらすよ 遠く … トラックバック:0 コメント:0 2014年01月28日 続きを読むread more
星のたびびと まだ じめんを蹴ったことのない 足のうら えんがわの ひだまりにおいた ざぶとんみたいに ぽんぽんして ふっくら わたしのてのひらに乗っかって いそがしく 弾む 知らない星に降りてきて はじめての冷たい風を ぺこちゃんみたいに ちょこっとだけ 舌をだして 感じている なにもかも なにもか… トラックバック:0 コメント:0 2014年01月26日 続きを読むread more
ひとときの カンナ ながれていく線路沿いの 見慣れた風景に ひときわ鮮やかな 紅いハンカチが 揺れている ひしめく家並みの裏側の フェンスの ほんのわずかな隙間 かどっこにたたずんで 巻き上がった風に ひらひらと はたはたと 葉をひるがえしている 走り過ぎていく車両たちを見送って さよなら さよなら、、、、 … トラックバック:0 コメント:0 2013年09月06日 続きを読むread more
夕暮れのターミナルにて エンジンのおと、 つよく よわく 帰り人を待つ バスの箱はね、 ステンドグラスみたいに やさしく 浮かび上がっているよ とおいむかし、 扉が閉まるまでの つかの間 (もぅ 行きって) (ううん、出るまで) そんな 身ぶり手ぶりの あの やさしいひとは どこ行きのバスに乗ったんだろう… トラックバック:0 コメント:0 2013年09月03日 続きを読むread more
ちいさな 鼓動 いちばんあたらしかった昨日までが 後ずさり 遠ざかっていくよ 本立ての8月号は もぅ 色褪せているよ 団扇も わすれものみたいに じっと 静かにしているよ サンダルも 隅っこで 所在なさそうに ぼんやりしているよ はんぶん置き去りのワタシを抱えて 取り急ぎの 今じたくを あどけなかった … トラックバック:0 コメント:1 2013年09月01日 続きを読むread more
夏の記憶 「いつになく よく眠れたよ」 って 雨音がすきなあなただから きっと 落ち着いたんでしょう それにしても 加減を忘れたように 降るから 画面のテロップに とまどうばかりで いつだって 空模様は占い 当たってみたり はずれてみたり おみくじのように なんど… トラックバック:0 コメント:0 2013年08月26日 続きを読むread more