仕切り直し もうすぐ 年が暮れるからって あなたが磨いてくれた窓のこちら側で 子犬のように並んで 鉢植えの花が寒空を視ている 後ろ姿が かわいい 冷たい風が吹けば 枯れて終うのは自然の摂理だけど そばに居て欲しくて 硝子の内側に入れた 我がまま 南国の花ブーゲンビリアは置き場所を変えると ほとんどの花と葉を落とすいつも いさぎ… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月30日 ゆく年 くる年 仕切り直し 続きを読むread more
響き 一軒の家を隔てて 前には 線路が走っていた 数分置きにやってくる 規則的な振動と騒がしさと 知らず知らずに 終電に始発は時計代わり ふくろうのため息と鶏の雄叫び あの頃は 憂いたこともあったけれど 今は 想いふくらむ 夜が更けて 街が寝静まると 懐かしい列車のリズムが 遠くから響いてくる 枕に 耳を着けて眼… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月30日 故郷 響き 郷愁 続きを読むread more
意識 いつも 気になるもの 鳥の翼 プラスチックのような脚 魚のひれ うろこ エラの閉開 猫の瞳 しっぽのクネリ 犬の耳 心臓の鼓動 兎の鼻 背中の丸み ネズミの手 忙しい前歯 イルカの笑い顔 話し声 トンボの複眼 首の捻り などなど それから あなたの枯れた声 咳の音 わたしの脳トレ 筋トレ 人間の五感と… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月29日 視線 機能 五感 続きを読むread more
シーラカンス 「いつか解かるよ。」と 言ったら 「いつかの話ばかりする」って 苛立った顔をした 今はまだ 判らないことが沢山あるよ 発展途上の道半ばだもの 言葉だけじゃ 仕方ないんだ 時を重ね 少しずつ登り詰め 坂の上に立った時 初めて視える景色があるんだ 昔 やっぱり私も解らなかった 今だから解る感情がある みんな 待てな… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月28日 言葉 ギャップ すれ違う 続きを読むread more
本能 さっきから ぱんぱんっ!と音が鳴っている ビービー弾で狙われているみたい 身体を硬くして 辺りを窺う 逃げた方がいいのかな お隣で 焚火の薪が爆ぜてるのかな 家宅捜索をしたら 犯人は鞘のなかの花の種だ 窓際で陽を浴び 鞘がふたつに割れている お皿の上でくるくると カールしたマカロニだ 螺旋によじれて寝そべっている … 気持玉(0) コメント:0 2020年12月27日 弾ける 着地 本能 続きを読むread more
聖夜の夜更け 叩け 叩け 叩け 心の扉を叩け 今 どこで考えた? そう 身体の高いところに在る その 頭脳のなかで ずっと そこが主役だ 出てきた言葉は 的をすこし外れているよ 自分では気づかない でも ほら 眼の前に居る人が すこし首をひねっているよ 怪訝な顔をしているよ 自分のことなのに まるで誰かがもうひとり居る… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月25日 頭 心 言葉 続きを読むread more
想い出が尽きない夜を ああ よかったな スマホの操作を間違えたって スマホの画面に あなたのビックリ顔が現れた わたしは とにかく可笑しくて可笑しくて ずっと 笑いが止まらないよ 嬉しすぎて 笑いが止まらないよ そうか…… 人は嬉しすぎると笑いが止まらないんだな そう言えば 子供って確かそうだなあ 嬉しいとクニャクニャして やたら笑っ… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月23日 偶然 昔話 記憶 続きを読むread more
素顔の野菊 (再編) 薄日射す路地を行けば 群れ咲く野菊 いたずらっ子の瞳をして フェンスから顔を覗かせ 服の裾 つかもうと手を伸ばす 冬枯れの野に入れば 素顔の野菊 支え合いもつれ合い 冷えた土に横たわり 流れる雲を 眼で追っている 居たたまれず いくらかを手折り持ち帰り ガラスの瓶の水に挿せば 慣れない部屋に惑って ひ… 気持玉(2) コメント:0 2020年12月18日 野菊 散歩 唱歌 続きを読むread more
たからもの 「こども扱いしないで」 と あのこが言ってる 「いつまでもこどもだと思ってるんだから」 と また あのこも言ってる こどもでいられることは どれほど 安堵なことだろう それを知らない だれもが大人になれと言う もう こどもじゃないんだよと言う おとなの顔をして おとなのふりをして それでも いつまで経っても … 気持玉(1) コメント:0 2020年12月16日 たからもの こども おとな 続きを読むread more
だいきらい 吹っ切る 吹っ切れない 吹っ切ります 吹っ切れ ずっと ぐるぐる考えてしまうんだ メビウスの輪のように 終わりが無いよ “考え癖”って言うらしい ほんとは何でも 至極シンプルなはずなんだ それを 複雑な迷路にしてしまってるんだ じぶんから こどもが泣きながら 「大嫌い!」と叫んでいる ストレートだ… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月13日 迷路 スッキリ 言葉 続きを読むread more
手が届く日まで 冬の くぐもった鈍色の空を 旅客機が泳いでいく おもちゃみたいにミニチュアだから 手を伸ばせば つまめそうだ 異国へ行きたいなあ いつのまにか世界は近くなって 空港へ行って 路線は選び放題なはず…だな それなのに このごろ なんだかすごく遠い さみしいな 物語のようなホテルに泊まって 視たことない風景の窓を… 気持玉(1) コメント:0 2020年12月08日 旅 自由 希望 続きを読むread more
それぞれのデッサン あの駅前のロータリーで待ち合わせて 初めてデートした時から わたしたちは 互いのデッサンを始めた ナナメに向き合って 食事をして おぼろげな輪郭だけ 逢うたびに幾らかずつ 鮮明になっていく 笑った顔 怒った顔 惑った顔 哀しい顔 記憶の襞に どんどん書き込まれていく 黄や赤や灰に蒼と うっすら彩色も浮かんでくる … 気持玉(0) コメント:0 2020年12月07日 デッサン 記憶 彩り 続きを読むread more
バリア あなたが 花をみて“かわいいねぇ”って つぶやく あなたの横顔をみて (ああ よかったな)って 思う 心にバリアを打ち建てて ただ やり過ごす日々 分刻みで追われる日々 護ることで終わる日々 花は あなたを見上げているけど モノクロで あなたの心に届かない あなたが 花をみて“調子いいね”って 微笑む … 気持玉(1) コメント:0 2020年12月06日 バリア 鉄壁 粉砕 続きを読むread more
憧れ あの頃 母の箪笥の上 乗っかってる飾り棚に 瞳は釘づけだった 和服姿の人形や 鋳物に木彫り それぞれが くっついたり離れたり 硝子戸を隔てて わたしを見下ろしていた ショーウィンドウを覗くように 伸びあがって 時には椅子をはこんで 硝子を開けたり そっと 手に取ってみたりした 母と過ごしたあの部屋へ 眼を閉じ… 気持玉(0) コメント:0 2020年12月03日 母 憧れ ノスタルジィ 続きを読むread more
大地の夕暮れ 目覚めて眠る 絶え間ない循環 水槽で暮らす熱帯魚のあぶく こころが揺さぶられる 澄み渡るには 極々シンプルなことだ と そんな扉の前に立っている 一面のススキが原で 夕暮れを待つ 雲間から光が射した瞬間 辺りは黄金色に輝き もう なにもかも許された気がした 技術の進歩はめざましく 眼を瞠るけれ… 気持玉(1) コメント:0 2020年12月02日 夕陽 草原 扉 続きを読むread more