夜明け前の夢

明け方にみた夢は 駅のホームからだった あなたの声は受話器の向こう 「ごめんね ごめんね」と 二度繰り返してぷつんと途切れた 発車の電子音とアナウンスが 後ろでけたたましかった そんな物語は最近は視ていないな  わたしの意識はどこに在るんだろう あなたの顔が やたら鮮明に浮かんでいた 膝をかかえて丸くなって …
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かならず日は昇るのに

舞い降りた命をあたためるひとと あたためていた命を空に返すひと 一日のうち ふたつの命のやりとりに触れる あたらしい命を護るあなたと 護り続けた命を手放すあなたと ひとは愛しくてかなしい ひとは優しくてさみしい 誰かのためにたいせつな命じゃない じぶんのためにたいせつな命だ だからどうか  誰かのた…
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わたしは旅をする

とにかく とろとろと なめらかなコーンスープのように ねむって ねむって ねむって 意識は旅をする おもいがけないところへ むせ返るような草の匂い 仔牛のつぶらな瞳に青い空が映っている 石ころはみんな心を持って転がっている 眠ることで記憶の整理をするなら わたしはずいぶんと片付けている 夢遊病のように起きて …
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まだ知らない秋

曇天の朝に 窓を開けて風の匂いをかいだ 季節は 足早にながれていく 重なる雲に 憶えの秋を乗せてみる どれもみな 確かに在りながら 遠い彼方に 浮かんでいる ひとつとておなじ形をしていない 風は動いているのに わたし コップのなかの水のようだ たぷたぷとちいさな器のなかで 揺れて足踏みをしている …
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森に居る

樹々は言葉をもたない だからわたしも 言葉は部屋に置いていく 枯れた葉を踏んで 枯れた枝を拾って 空と鳥と風と 樹々の間を渡っていく 樹々に語弊はない すれ違いも言い訳も わたしたちの 訪れを待って 花を咲かせたりなんかしない 葉を捨てて枝を落として また 芽吹いて 時を重ねていくことに 迷いもてらい…
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窮屈を置いていく

ほの暗い部屋の中に居て 開け放された 扉の向こうが気に掛かる 連なる部屋を 奥へ奥へと分け入りながら 視線はいつも ひずんだ硝子の 向こうばかりを泳いでいる 箱庭の四角い青空がまぶしい 明るい方へ 明るい方へ 手を伸ばすから 誰かわたしの腕をつかんで 陰に佇む わたしをここから連れ出して すぽっと抜…
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ペンギンの夢

昨夜 ペンギンの夢をみた 高い岩場のへこみから たくさんのペンギンが 海へ飛び込んでいく 雪崩るように 雪崩るように どうして今 ペンギンなんだ? 目覚めれば 忘れてしまう夢もあるのに 何度でも甦る 夢うらないを見てみれば あなたはこどもに慕われています あなたは家族に愛されています あなたはこど…
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むかしはむかし

わたしはあの街を知っているけれど あの街はわたしを知らない もう 時が流れてしまったから あの浜辺で体育座りをして 時間をつぶしたこと あの店で知ったかぶりをして 珈琲を飲んだこと あの電車で雪に閉じ込められて 一日が暮れたこと わたしはあの街を憶えているけれど あの街はわたしを忘れてしまった わたしが居な…
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自由自由というけれど

気ままに風に揺られている… 何にもとらわれない 自由で居てほしかったのは わたし 自由で居たかったのは わたし か細い葉のエアプランツを 旅先の銅山跡地で拾った 桜の枝に乗せてみた 苔を挟んで 細い細いワイヤーで巻く それだけで かなりの罪悪感 翌朝 別人?のように生き返っていた ホッと安堵しているよう…
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移ろい

今朝 アスファルトの匂いはしなかった 湿った土の香りと 気がゆるんだように ふわふわ 浮き上がる アイビーの羽ばたきと 戦いはもう過ぎたのかな 時折 揺り起こされたように ひぐらしが鳴く 時雨の声を探すけれど もうどこにも 降ってこない 暑かったね…… 気がこぼれて ふわふわ 浮き上がる 足が地面に着…
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時と在ること

むかしむかしの話を聴きたがるのは おさないこども 過ぎ去った彼方を懐かしむのは 時を積んだおとな 走っているのは 現在(いま)を渡る彼と彼女 こどもとおとなの真ん中すすむ それは 右へ右へとじぶんで巻く ゼンマイ仕掛けか それとも 遠い宇宙から送られる 間違わない時計か だれも持っている時間 数字…
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眠れぬ夜

タイフーンがやってきて あなたとわたし この家のなか ふたりきり この世界のなか ふたりぼっち 雨はナナメに降っている 風は木々を捻っている あなたは眠っている わたしはカーテンの向こうの 雨音を聴いている カレンダーの過ぎた日に引かれた ナナメの線を視ている あとどのくらい こうして いっしょに居ら…
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シェルター

すこし疲れたから 森のなかへ 迷い込んでしまおう 国道沿いにちょっとだけ 口を開いている 後ろからクラクションの音がしても 今は振り向かないで アスファルトの道を蹴って 降り積もった化石の葉を踏んで シダや突き出した根っこを横目で視て 傍ら 水の音が聴こえる 小石をころがしながら流れていく 倒れ込んで枯れた枝…
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